季節の変わり目や風邪のひき始めにはちみつを

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季節の変わり目になると、なんとなく調子が優れなかったり疲れやすくなったりと、不調を感じることはありませんか?また、だんだんと気温が下がり、乾燥していくこの季節は特に、喉の痛みや咳など、「風邪?」と感じるような不調を突然感じることも。はちみつは、そんなゆらぎやすい季節の変わり目にも、風邪のひき始めにも大活躍してくれる優れものです。

レモンのはちみつ漬け

はちみつがもたらす効果

はちみつには優れた殺菌効果と防腐作用があります。病原菌や細菌の増殖を抑制してくれる効果があり、喉の痛みを解消してくれたり、咳を抑えてくれます。また、はちみつの水分量は約2 0% と低く、適度な粘度もあるため、水分を集めて閉じ込める保湿効果が高く、喉の粘膜を保護する作用もあります。喉に付着した雑菌の増殖を抑えるだけではなく、荒れた粘膜を保護する効果があるのです。英オックスフォード大学の研究結果によると、はちみつは風邪やインフルエンザに似たような症状の緩和について通常の市販薬よりも有効である可能性があることがわかりました。はちみつは昔から咳に対する民間療法としても利用されてきていますが、上気道感染症の症状の改善に関して、通常の治療よりも効果が高かったという結果も。こうした効能から、海外では医療現場でも活用されています。( 詳しくは、(Beauty Times Vol.44)でご紹介しています。)
また、主成分であるブドウ糖と果糖は、体内で分解されずにそのまま吸収されるので、胃腸に負担をかけずに素早くエネルギーに代わるという特徴もあります。はちみつに含まれる「グルコン酸」や「オリゴ糖」は善玉菌の餌となるため、大腸の働きを促し、お腹の調子も整えてくれます。

毎日スプーン一杯のはちみつを習慣に

何かと不調を感じやすい季節の変わり目には、定期的にスプーン一杯のはちみつを取り入れてみるのはいかがでしょうか。特におすすめしたいのが「はちみつレモン湯」。薄切りしたレモンとはちみつにお湯を注ぐだけですが、身体を温めながらはちみつを取り入れることができます。すりおろした生姜を加えるとさらにポカポカに。ぜひお試しください。

アピセラピーを知っていますか?

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ミツバチ産品

「アピセラピー」という言葉を聞いたことがありますか?
アピ( Api)とは、ラテン語でミツバチのことを意味し、「アピセラピー」とは、ハチミツやプロポリス、ローヤルゼリーなどのミツバチ産品を使った自然療法のことを指します。クレオパトラの時代から人間はミツバチ産品を取り入れてきましたが、アピセラピーについても、古くからヨーロッパで研究が進められてきました。ただ、一言でアピセラピーといっても、文化によってその言葉が指す実態も異なるようです。たとえば、日本でアピセラピーといえばプロポリスが広く受け入れられている一方で、フランスでは、ハチミツを主に利用した傷の治療がアピセラピーの中心で、外科手術の傷跡の回復にハチミツが有効であると証明する研究が大学レベルで盛んに行われています。傷の治療薬としても認可され、大学病院で医薬として使用されています。アメリカで「アピセラピスト」と言う時には、蜂毒を使って施術を行う人のことを指すということで、ミツバチ産品を使うといっても、地域や文化によりアプローチは様々です。

アピセラピーで使用されるミツバチ産品
・ハチミツ
・ローヤルゼリー
・プロポリス
・花粉
・ミツロウ
・蜂の子
・蜂毒…

アピセラピーではあらゆるミツバチの生産物が使われています。殺菌作用、抗菌作用に優れ、免疫力を高める効果があると言われているハチミツをはじめ、ミツバチの巣に使われている樹枝状の物質から抽出するプロポリスも取り入れられています。プロポリスをベースとした調合物は、太古より天然の抗生物質としても使用されてきました。蜂の子は、その名前の通り、蜂の幼虫や蛹ですが、ミツバチ由来の健康食品の一つとして世界中で取り入れられています。日本でも郷土料理として親しまれている地域がありますよね。ミツバチが針に持っている毒の成分も、ヒトの免疫力を引き出してくれるとして治療に用いられ、この療法は世界中で4000年もの歴史があります。私たちの健やかな生活は、ミツバチがもたらしてくれる自然の恩恵に支えられていることを、アピセラピーを通じてあらためて実感しました。

参照:Roch Domerego「アピセラピーとその科学的根拠」
(ミツバチ科学21(2)75ー80 Honeybee Science 、2000年)

日本の蜜源事情

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日本人のハチミツの消費量は近年増加傾向にありますが、実は国内で消費されているハチミツのほとんどは輸入品で、国内産のハチミツは全体の消費量に対して6%程度です。この割合は年々減少傾向にありますが、なぜ日本で採れる量が少なくなっているのでしょうか。
原因の一つとして、養蜂家の高齢化や後継者不足問題があるといわれていますが、それだけではありません。今、日本中でハチミツの原料となる大切な蜜源が少なくなっていることを挙げる専門家もいます。これは農林水産省によるデータ(*)でも明らかで、2012年と2019年を比較した時にレンゲの蜜源面積は1/3まで減少、すべての蜜源を合わせた全体面積も、約70%程度まで減ってしまっていることがわかります。

ミツバチの巣箱

なぜ蜜源が減っているのか
世界には約4000種の蜜・花粉源植物があり、日本では6 0 0 種類以上の蜜源植物が確認されています。ミカンやリンゴ、クローバー、アカシア、レンゲ、ソバ、サクラなどは身近な植物ですし、ハチミツが販売されているのを見かけたことがあるかもしれません。
蜜源が減っている原因としては、農業が衰退し、開発などが進むことで農地が減っていることが挙げられます。これにより、大きな蜜源であるレンゲやクローバーの栽培が減ってしまいました。また、レンゲの花を外来害虫が食い荒らしてしまうという問題も起きています。品質改良により、蜜や花粉の量が減らされた品種が栽培されていることも影響しています。
また、私たちも変化を感じている異常気象がミツバチに与える影響も重大です。花の季節に雨が多く、ミツバチが蜜を集められなかったり、温暖化の影響でミツバチが飛び回る前に花が咲いてしまったりすることで、蜜を集められるタイミングも変化しています。

身近なところからミツバチに蜜源を
ヨーロッパでは、ミツバチたちに蜜源を提供する取り組みとして街や庭に積極的に蜜源植物を増やしたりする地域があるそうです。夏に向けて家庭菜園を始めている方も多いと思いますが、実はこれもミツバチにとっては大切な蜜源になります。定期的に続けていたら、ミツバチを見かける日も近いかもしれません。

*参考データ:農林水産省「養蜂をめぐる情勢」(令和2年11月)

砂糖の代わりにはちみつを使うと良いこと

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砂糖もはちみつも、どちらもとても甘いのにも関わらず、砂糖の代わりにはちみつを使った方がヘルシーだと聞いたことがありませんか?ダイエット特集などでも、たびたび取り上げられるはちみつ。いったい砂糖とどんな違いがあるのでしょうか。

はちみつの入った瓶

甘さと栄養成分の違い

はちみつと砂糖はまず、甘さの成分となる糖の種類が大きく異なります。白砂糖は「ショ糖(スクロース)」のみですが、はちみつは「ブドウ糖(グルコース)」と「果糖(フルクトース)」という糖が主な成分です。そして、白砂糖の栄養成分のほとんどが炭水化物(消化吸収される糖質(易消化性炭水化物)と消化吸収されない食物繊維(難消化性炭水化物))であるのに対して、はちみつには多くの栄養素が含まれています。良質なビタミン類やミネラル類をはじめ、アミノ酸や酵素といった栄養素も豊富に含まれているので、非常に栄養価の高い健康食品といえるでしょう。また、はちみつのブドウ糖には、エネルギーとして代謝されるのが早いという特徴があります。ブドウ糖と果糖は、食後約20分で体に吸収されてエネルギーに変換されます。ブドウ糖は唯一、脳のエネルギー栄養素となるため、どの臓器よりも多くのエネルギーを消費する脳の働きを助けてくれるのです。

気になるはちみつのカロリーは?

糖分に加えて豊富な栄養素と聞くと、カロリーが気になりますよね。砂糖100gが384Kcalに対し、はちみつ100gが303Kcalと低カロリーです。加えて、はちみつのほうが砂糖よりも甘味が強いので、同じ甘さを出すため使う量が少なくて済み、自然とカロリーを抑えることができます。

健康の維持に役立つはちみつ

はちみつに豊富に含まれる栄養は、私たちの健康をサポートしてくれます。疲労回復効果、咳止めや喉の抗炎症作用、整腸作用などに加え、ミネラルの中でも特にカリウムが多く含まれていることから、高血圧の予防に効果的という研究結果もあります。健やかな毎日に上手に取り入れていきたいですね。

自動車業界で進む
ミツバチを通じた環境貢献

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なぜ自動車を製造する企業が養蜂を?
ポルシェにベントレー、ランボルギーニにロールス・ロイスと、近年、自動車業界が取り組む養蜂プロジェクトが話題になっています。自動車を製造する企業がなぜ養蜂に取り組んでいるのでしょうか?国の自動車メーカーであるベントレー・モータースは、2019年5月、本拠地である英国・クルーにて12万匹のミツバチと共に「フライングビー(FlyingBees:空飛ぶハチたち)」を開始し、同年9月には、たった2つの巣箱から100瓶以上のハチミツの収穫に成功しました。ベントレーの製造部門担当役員は次のようにコメントしています。
「地域の生物多様性保全に貢献することを目指して、工場の広大な敷地内に巣箱を設置しました。このエリアにはミツバチたちが好む花が数多く植えられているため、養蜂に適しているということもわかりました。小さな一歩を踏み出すことが地域の生物多様性保全につながっています。」

巣箱とミツバチ

ベントレーは、常に環境への負荷を改善する方法を模索していますが、養蜂はその解決法の一つとして、新たな取組みとして取り入れられています。
ロールス・ロイス・モーター・カーズもまた、自然保護活動家、動物・植物学者、栽培者、養蜂家とともに協力し、「ロールス・ロイス養蜂プロジェクト」を展開しています。2017年に設立された養蜂場には6つの巣箱が設置され、約25万匹のミツバチが飛び回り、約400kgのハチミツが収穫されました。ロールス・ロイスも同様に、環境負荷をかける産業に関わる一企業として、英国内でも個体数の減少が問題となっているミツバチを守るとともに、自然環境を守る活動として養蜂プロジェクトに取り組んでいます。

人間の生活は、ミツバチに支えられている
ミツバチは、花の蜜を集めるだけではなく、私たちの毎日の食事に欠かせない野菜や果物などの受粉も行っています。その割合は、世界の野生種子植物の約90%、そして世界の食用作物の75%以上ともいわれ、ミツバチたちがいなくなってしまったら、私たちの生活はこれまでのものとは大きく異なるでしょう。しかし、ミツバチの減少は世界的に問題となっており、人間がこのまま環境に負荷をかけ続けていると、朝のコーヒーやフルーツを楽しむこともできなくなるかもしれません。自然の恵みに感謝して、ミツバチや環境のためにできることを少しずつでも意識していきたいですね。