太平洋地域の島々や東南アジアの国々で、古くから人々の生活を支えてきた木、それがココナッツです。
ココナッツの木は「Tree of Life」とも呼ばれ、人々の生活や健康に必要なものをすべて与えてくれる木として重宝されてきました。
日本でもココナッツオイルを日常的に取り入れている人が多くなってきました。また、タイ料理やベトナム料理といった東南アジア料理を再現した商品が大手スーパーのプライベートブランドから発売されるなど、ココナッツミルクを使った料理も随分身近なものになってきました。しかし、実はココナッツの木の魅力は、オイルやミルクだけではありません。ソロモンの村落部で暮らす人々の生活を少し覗いてみましょう。
ココナッツの木に支えられている地域の人々の家は、ココナッツの木を使って作られています。柱はもちろん頑丈なココナッツの木の幹でできていますし、屋根はココナッツの葉を編んだものでできています。強風で飛ばされてしまったりは日常茶飯事ですが、そんな時はすぐに葉を集めて、新しい屋根を作り直します。
台所ではガスがないので、ココナッツの殻が燃料として活躍しています。前出のココナッツミルクは、殻の内側の果実を削り取ったものに水を加えて絞ったものですが、搾りかすも栄養価が高く、家畜の飼料や畑の肥料として活用されています。
喉が渇いた子どもたちは、ココナッツの木に登り実を落とし、殻を割って天然のココナッツジュースで喉を潤します。高いものだと20〜30mの高さがありますが、ココナッツの木の中で育った子どもたちは、とても器用に登ります。
ソロモンには「ココナッツニュース」という言葉があります。これは、ココナッツの実が木から落下する時、下にいる人が逃げようもないくらい早く落下する様子からできた言葉で、「ココナッツの実が落ちるように早い人の噂(クチコミ)」のことを指しています。現地の人いわく、「Eメールより早いココナッツニュース」とのことだそうです。ココナッツが人々の生活に根付いている様子がこの言葉からも伝わってきますね。