睡眠の質や時間が肌の状態に大きく影響しているということはご存知の方も多いでしょう。よく眠れなかった次の日に、肌の調子が悪くて朝から気持ちが落ち込んでしまった経験をされたことのある方も少なくないと思います。美容ホルモンとも呼ばれる肌の調子に関わる成長ホルモンの70%は眠っている間に分泌され、食べたものの栄養を吸収し、身体や肌の細胞分裂を促したり、傷ついた細胞の修復や回復をサポートしてくれています。
成長ホルモンが健康・美容面で私たちの身体にもたらす効果
- 免疫力をアップ!健やかな身体を作り、守ってくれる。
- 食事などから摂取したタンパク質を合成し、肌や髪・爪の修復・回復・保護をしてくれる。
- 脂肪を分解し余分な脂肪を溜め込まないようにして肥満予防になる。
さまざまなメリットをもたらしてくれる成長ホルモンですが、午後10時から翌2時までが特に分泌される時間として「肌のゴールデンタイム」といわれていたり、「睡眠時間は多いほうがいい」ということも聞きますが、果たして本当にそうなのでしょうか。一般的に理想とされる睡眠時間は、約7時間〜8時間です。しかし、忙しい毎日を送る現代の人々でこれだけの睡眠時間を確保できている人はどれだけいるでしょうか。理想と現実にはギャップがありますが、どんなに短くても最低6時間の睡眠時間は確保したいものです。なぜ6時間なのか?それは眠りはじめの約3時間の間に成長ホルモンの分泌が盛んになるからなのです。眠りはじめてから90分ほど続くノンレム睡眠時をピークに、3時間は成長ホルモンが出続けるといいますから、少なくとも3時間はぐっすり眠る時間がないと大切な成長ホルモンの分泌を阻むことになってしまいます。つまり、本当の意味でのゴールデンタイムは、午後10時から午前2時ではなく「眠りについてからの3時間」であり、この眠りはじめに成長ホルモンの恩恵を受けるゴールデンタイムに、いかに良質な睡眠をとることができるかが、肌の健やかさ・美しさの鍵となっているのです。
良質な睡眠のためにできること
夕食は寝る3時間前までにとりましょう。肉類・魚類・豆類・乳製品に含まれる必須アミノ酸の「トリプトファン」は、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌を促すセロトニンの原料になり、魚介類に多く含まれる非必須アミノ酸の「グリシン」は体温を低下させて自然な入眠をサポートしてくれる快眠に欠かせない栄養素です。前出のメラトニンは、朝に光を浴びてから14〜16時間後に分泌がはじまり、午前2時ごろに最も増えるといわれています。メラトニンは目からの刺激に左右されるので、夜間は明るすぎない照明を心がけましょう。眠る直前には、テレビやスマートフォンなどの使用もなるべく避けたほうがいいでしょう。また、完全な無音状態よりも、自然に近い音が流れていたほうが入眠しやすいことがわかっています。イヤホンではなくスピーカーを使い、少しずつボリュームダウンしていきましょう。鎮静作用のあるラベンダーやカモミールなどのアロマオイルを取り入れるのも効果的です。