5-ALA配合肥料で玉ねぎ栽培に挑戦!
昨年9月、横浜市青葉区にある社会福祉法人グリーンさんの畑の一部をお借りして、5-ALAの肥料を使った玉ねぎ栽培を試みました。グリーンさんは、障害を持った方たちが農作業を中心に活動する団体で、農場で採れた作物を乾燥野菜にし、パスタセットやパンなどに加工して地元で販売をしています。
【SHOPとうり】
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9月の種まきと11月の植え付けの際には、5-ALA研究の第一人者である田中徹博士にもご同行いただき、5-ALA配合の肥料を2回施肥しました。もともと田中博士は、5-ALAの植物に対する効果への造詣も深く、肥料の開発にも関わっています。
玉ねぎは、冬に育てる代表的な野菜の一つで、通常9月上旬〜中旬に種をまき、11月中旬頃に植え付けを行い、およそ10ヶ月近くかけて育てます。今回植えた玉ねぎの種は、粘土鉱物で包んで丸く成形しまきやすくしたコート種子を使い、畑へ直まきせずに、トレイで育苗しています。この方が、発芽から幼苗期までに外部環境の影響に左右されにくいだけでなく管理もしやすく、収量が安定するからです。
植物での5-ALAの働き
さて、5-ALAはアミノ酸の一種で、ヒトでは細胞の中にあるミトコンドリアで作られていますが、植物では細胞の中の葉緑体で作られます。
ヒトの場合は、ミネラルである鉄と結合して、ヘムという物質になります。このヘムは血液中のヘモグロビンにも含まれ、酸素を運んだり、ミトコンドリアの電子伝達系で電子を運ぶことでエネルギーを産生します。
植物の場合は、マグネシウムと結合することで植物の緑色の元であるクロロフィルとなります。この葉緑体でクロロフィルとヘムが光合成をおこなうため、5-ALAとミネラルを同時に施用すると光合成が盛んになり、丈夫で元気な植物になります。その他にも、ヘムは抗酸化作用に関係する酵素になったり窒素や硫黄の固定を促してくれます。
5-ALAを施肥することで根からの栄養吸収を高めてくれるので、通常なら枯れてしまうほどの低温や塩分の多い場所でも、5-ALAを与えるとたくましく育ってくれます。5-ALAの作用によって寒さにも強くなるのですが、冬の寒さによる根や葉の傷みを軽減するためにマルチ(畑のうねをビニールシートやポリエチレンフィルム、ワラなどで覆うこと)を張っていたので、順調に育っています。
玉ねぎのとう立ち
玉ねぎは初心者でも育てやすい野菜なのですが、収穫の時期に「とう立ち」という現象が起こることがあります。通常は、収穫時期になると茎が横に倒れてきますが、植え付けの時期が早すぎたり肥料を与えすぎたりすると、茎が倒れずに花が咲いてしまい、たまねぎの成長が悪くなる「とう立ち」が起こりやすくなります。
今のところ、とう立ちの現象はまだ見られていませんが、天候などによって多少左右される可能性もありますのでまだ油断できません。
5-ALAの農業への可能性
現在、5-ALA配合肥料は家庭園芸用の肥料としてあまり市場に出回っていませんが、海外の農家や日本の農家さんなどプロ用の肥料として普及しています。今後、サプリメントの需要が増えてくると、5-ALA配合の肥料も効率的に製造できるようになるので、もっと身近に5-ALA配合肥料を使えるようになるでしょう。世界中で5-ALA配合の肥料が使えるようになれば、日照時間が短い地域や砂漠化が進んでいる地域、塩害の多い地域などでも作物の生産が可能になり、地球緑化にも貢献することも夢ではありません。植物や農業の世界で5-ALAが役立ってくれる未来も近いのではないでしょうか。