新型コロナウイルスの影響で世界中を飛び交った噂
新型コロナウイルスの流行に伴い、「感染予防には●●が良い」という様々な噂が世界中で飛び交いました。信憑性が疑われるそれらの噂には、WHO(世界保健機構)もかなり早い段階で警鐘を鳴らすほどでしたが、中でも、『ごま油を体中に塗ること』という噂にはとても驚きました。他にもニンニク、ヨーグルト、納豆など、日頃から健康に良いとされる食品も感染予防に良いといわれ、その結果、日本中のスーパーマーケットからそれらの商品が一時的に消えてしまいました。買いだめ行動と相まって、商品棚がかつてないほどに空っぽだったことは記憶に新しく、今だに購入制限がかけられているスーパーマーケットも少なくありません。棚から消えた商品はそれだけではありません。とあるテレビ番組で「ハチミツが健康に良い」と紹介されたことでハチミツを手に取る消費者が増え、2020年3月9日〜15日には、前年比270%(金額ベース、インテージ調べ)と爆発的に売れ、その後も同150%前後で推移を続けているといいます。その背景には、全国の小中高校に休校要請が出て「おやつ需要」が高まり自粛生活でスイーツを作る方が増えたこと、そして前述のテレビ番組で「はちみつが新型コロナウイルス撃退に効く」という誤ったイメージが流布され、健康志向の高い人々の関心を寄せたことがあるといいます。
感染症に対するハチミツの効果についてるハチミツの効果について
実際にハチミツは感染症に効果的なのでしょうか。大手ハチミツメーカーの担当者は、新型コロナウイルスに対しての効果について次のように話しています。「健康に及ぼすはちみつの効果効能については、弊社の見解はない」(加藤美蜂園担当者)、「新型コロナに対応するエビデンスは現状ない」(山田養蜂場担当者)と、明確に否定しています。確かにハチミツは、含まれる豊富な成分から抗菌効果、殺菌効果があるといわれ、また、免疫力を高める効果についても頻繁に取り上げられています。クレオパトラの時代から、健康維持、美容維持にハチミツが取り入れられてきたという歴史もあります。しかし気をつけたいのは、ハチミツはあくまでも食品であり、特定の感染症に良いという表現には注意が必要です。私たちも一消費者としてそういった謳い文句に踊らされることがないようにしていきたいものです。