ハチミツと同様にミツバチがつくり出す副産物の一つであるプロポリス。以前より健康にいいと言われ、日常生活でものど飴や健康食品などの様々な商品を多く見かけるようになりました。ハチミツ同様にプロポリスの歴史は古く、最古のものでは4700年ほど昔のメソポタミア文明の碑文に記録があるといいます(諸説あるようです。)古代では主に傷の治療薬として使用されていたほか、古代エジプトではミイラを腐敗させないための防腐剤としても使用されていたり、絶世の美女と呼ばれるクレオパトラもアンチエイジングケアのためにプロポリスを使っていたといわれています。このようにしてプロポリスは古代から私たち人類の民間療法として用いられていましたが、西洋医学が発展し特に抗生物質が発見されてからは、プロポリスの存在が薄くなってしまっていました。
プロポリスはミツバチが植物から集めてきた樹液や花の蜜などと、ミツバチ自身が出した分泌物が合わさって作り出された混合物のことです。ミツバチはプロポリスで巣の外側から内側までを塗り固め、その強力な殺菌力によって巣の中を無菌状態に保っているのです。そのおかげでひとつの巣には数万匹ものミツバチがいて高湿度にも関わらず、巣内にカビが発生することなくほぼ無菌状態に保たれているのです。そのような集団生活では、一匹でも感染症を起こすと全滅の恐れがあります。それをプロポリスで防いでいるのですから、ミツバチたちの習性は素晴らしいとしか言いようがありません。
プロポリスにはさまざまな種類のポリフェノールなどが含まれていますが、どんな有効成分が含まれているか詳しくわかってきたのはつい最近のことです。日本では1985年に開催された「国際養蜂会議」でプロポリスの有用性が紹介されたことをきっかけに、急速に研究が進みました。1990年代の初めには抗癌作用についての発表があり、その後プロポリスブームが起こりました。
プロポリスはミツバチが樹液などを集めてきた植物の種類や成長の過程、その場所の天候やミツバチ個々の状態によっても異なるものが作り出さられるため、効果効能については一概には言えませんが、次のような効果が期待できることが研究により明らかになっています。
- 抗酸化効果
- 脂肪蓄積抑制効果
- 抗炎症効果、花粉症などのアレルギー改善効果
- 風邪、インフルエンザ予防 など
化学合成で作られる薬剤には副作用の心配が伴いますが、自然界で作り出されるプロポリスの力が近年見直されてきており、プロポリスの研究からは今後も目が離せません。