空気の「乾燥」がウイルスを撒き散らす
冬になると必ず流行するインフルエンザですが、なぜ冬だけ流行るのでしょう?インフルエンザウイルスは、湿度が20パーセント程で気温が20℃より低い環境を好みます。つまり、気温が低く乾燥した冬場が、インフルエンザウイルスにとっては生息しやすい環境なのです。もともとインフルエンザウイルスは水分を含んでいて、乾燥した空気に触れると水分が蒸発し、軽くなって空気中に長時間漂うようになります。
一方、私たち人間は、寒くて乾燥した環境になると、鼻や喉、気管などの血管が収縮し、粘膜の働きが弱まってきます。すると空気中に漂っていたウイルスは簡単に体の中に侵入し感染します。特に冬は締め切った室内で過ごすことが多いため、インフルエンザに感染したヒトの咳やくしゃみによってウイルスが撒き散らされることにより、感染が広がりやすくなります。さらに、粘膜細胞にウイルスが付着すると、16時間後には1万個、24時間後には100万個というものすごいスピードでウイルスが増殖するので、とても短い潜伏期間でインフルエンザが蔓延していくのです。
インフルエンザ予防は「乾燥対策」から
それでは、インフルエンザを予防するためにはどのような対策が必要なのでしょう。
冬はクーラーなどの暖房を使うと、外より室内の湿度がかなり低くなりますが、加湿器などを活用して室内の湿度を50%以上に保つとウイルスは活動できなくなるので、生存率は大幅に低下していきます。
また、手洗いとうがいをまめにすること、そしてまめにマスクを着けることです。予防するだけでなく、「うつさない」という気持ちを持つことも、インフルエンザ予防にとってとても大切なことです。
ALAによるインフルエンザウイルス感染症に対する新たな治療の可能性
現代では、インフルエンザを予防するためのワクチンや治療薬の開発が進んでいますが、ワクチンの場合、新型ウイルスが発生すると予防できなかったり、治療薬の場合は発症後48時間以内に使用しないと効果が得られなかったりと、常に薬の開発が追いかけっこしているような状況です。
ALAを摂取すると基礎代謝を活発にし体温も高くなり、免疫力がアップするということはこれまでもお伝えしてきましたが、2016年7月、徳島大学とSBIファーマ㈱によってALA(5-アミノレブリン酸)を利用したインフルエンザウイルス感染症の治療に関しての特許を米国で取得したということが発表されました。
(出願番号 CA 2877232 要約)
本発明によると、対象における摂食量、摂水量、体重、体温の低下を防止し、インフルエンザ重症化を回避して生存率が向上する、安全性が高いインフルエンザウイルス感染症の予防及び/又は治療剤の他、血中ケトン体量の増加抑制剤を提供することができる。
実用化されるまでには時間がかかりそうですが、ALAを利用したインフルエンザウイルス感染症に対するこれからの新たな治療の可能性が期待できそうです。