今年4月、ソロモンでは大規模な洪水に見舞われ、首都ホニアラをはじめ、ソロモン各地でとても大きな被害が発生しました。
現地で活動するNGO:APSDによると、洪水や気候の影響だけでなく、女王蜂や働き蜂の状態、環境の変化などから、このところハチミツがなかなか集まりにくい状況が続いているとの報告を受けています。原因は一概に断定できないのですが、専門家の方と一緒に少しずつ検証をしながら安定した生産体制を整えていきたいと今後の方向性を検討しているとのことです。
ララ・ソロモンではこのような状況を鑑みて、クリスマス時期に予定していた巣箱サポーターの募集は、一旦見送らせていただくことに致しました。楽しみにしてくださっていたみなさまには、大変ご迷惑をお掛け致しますが、現地の状況が整いましたら改めて巣箱サポーターの募集を再開する予定です。
何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
NGO:APSDの現地スタッフからは、以下の通りレポートが届いておりますのでご覧ください。
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【巣箱プロジェクトレポート】
- ソロモン概況
今年4月に発生したガダルカナル州を中心に起きた大雨による洪水、地滑りによる災害は、被害者数:約50000名、死者数:22名、行方不明者:2名、多数の家屋崩壊と、小国では大きな被害となりました。特に、首都ホニアラに流れ込むマタニコ川の氾濫による被害が大きかったこともあり、物資供給が停止し、物価の高騰や地方の物不足など、島嶼国特有の二次的被災も免れませんでした。
プロジェクト・サイトであるマライタ州は直接な被害はありませんでしたが、大雨による農作物に大きな影響が出ており、半年を経た今に至って予定していた収穫物が不作で住民は食糧不足の状態が続いています。
- 養蜂状況
昨年度まで順調に推移してきましたが、一方で収穫までの期間が長く必要になるといった兆候を生じていました。今年に入り長雨の影響もあってか同状況が著しく進み、これまでプロジェクトサイトであるマライタ州中央部では蜂蜜の生産量が激減しています。原因については諸説ありますが、視認されている問題は以下の通りです。①長雨による影響
②女王蜂の更新
一般的に3~7年程度で女王蜂を更新する必要がありますが、うまく行われていません(女王蜂の不足による)。③害虫の影響
気候変化などとも関連されると思われますが、蛾による巣箱の汚染が目立っており、巣箱の設置場所などを変える対策を進めています。
④外来蜂の影響
アジア蜂の飛来を確認しています。農業試験所などのないソロモン諸島では、解決に向けての対応も容易ではありませんが、同国でも問題視しており、ニュージーランドの専門家が調査を進めています。生じる現象の中でもアジア蜂の出現が、動物の世界で微妙に影響していると考えられています。ソロモンの蜂の世界は、これまで在来種とヨーロピアン蜂によって構成されていたのですが、首都のあるガダルカナル州を皮切りにアジア蜂の活動が報告されていました。これまでマライタ州では報告されていなかったのですが、昨年あたりから急に現れ、養蜂が低調になっているというものです。アジア蜂は輸出入特に木材運搬船に同行してくると考えられ、ロギングが主要産業であるソロモンの開発による弊害とであると同時に人やモノの動きが島嶼国でも盛んになっているという現れです。
専門家が調査に入っていますが、正式な報告はまだなく、当地では現状を見守るといった状況です。もちろん全滅している訳でなく、収穫期が長かったり収量が落ちたりという報告ですが、地域によってはこれまで通りに収量を上げているところもありますので、安定供給という観点から一旦様子を見守りたいと思います。 - 巣箱プロジェクトについて
これまでのご支援を通じソロモン諸島での養蜂の機運は高まりつつあり、徐々にですが生産~供給体制もできつつあります。しかし、上記のような自然を相手にした現象に対し、同国の養蜂業はまだ経験がありません。農薬や抗生物質などに汚染されていないという事は自然の脅威にさらされている事でもあり、しばらく自然に寄り添いながら見守る必要があるのかもしれません。
このようななかでは供給体制も安定性を欠く事となり、ソロモン蜂蜜ファンの皆様にはご迷惑をおかけする事になりかねませんが、どうか事情を鑑み、引き続き温かい目で応援していただければ幸いです。