冷えと安眠の関係
冬になると「体が冷えて寝つきが悪い」という人が多くいますが、体が冷えたままだと眠りが浅く、翌朝疲れが残りやすくなってしまいます。体温は活動している日中は上昇し、夜になり睡眠状態になると下がり、体に溜まった熱を放出するようになります。これは体内時計に働きかける睡眠ホルモン(メラトニン)が影響しており、目覚めてから14〜16時間ほど経過すると、この睡眠ホルモンが分泌されはじめ、体の深部の体温が低下してきます。この体温の変化が眠気のシグナルとなり、自然に眠気を感じるようになります。このホルモンが分泌されはじめるタイミングと就寝のタイミングがうまく重なると、深い睡眠を得ることができますが、忙しい現代の私たちにとって、そううまくタイミングを合わせることはなかなか難しいことではないでしょうか。
実際は、寝始めの頃はまだ少し体温が高く、睡眠状態に入ると体温が下がってくるため、もともと体温が高い人のほうが寝つきが良く、深く良質な睡眠を得ることができるのですが、体が冷えやすい人は日中も体温が上がらず、夜になってもこれ以上体温を下げられないという防衛本能が働き、熱の放出が行われにくくなります。すると、日中に比べて体温の変化が少ないため、眠気のシグナルのスイッチが入りづらくなり、寝つきが悪くなってしまうのです。
質の良い睡眠を得るためには
就寝前に温めのお風呂に入ったり、温かい飲み物を飲んで体を温めると、質の良い睡眠がとれるようになります。ベッドや布団に入ってからもまだ体が冷えている場合は、冷えを解消するツボを押さえるのも効果的です。中でも足の裏にある「涌泉(ゆうせん)」というツボは簡単に押すことができるのでおすすめです。足の指を曲げた時にできるくぼみの真ん中を、親指の腹でゆっくりと力を入れて5秒ぐらい押して、5秒ぐらいかけてゆっくり離します。それを10回ほど繰り返します。
このツボは、元気のツボと言われて血液循環を促しますので、冷えだけでなく、むくみや足の疲れなどにもおすすめです。
もともと私たちの体には、自分で治ろうとする自然治癒力が備わっています。少し病気の原因になるものが発生しても自然治癒力がはたらく間は、元に戻ることができます。ところが、「冷え」が体に潜んでいると血行が悪くなり、細胞まで栄養が行き渡らず、自然治癒力が弱まってきて病毒に侵されてしまいます。
ALAで体温が上がる!
実は、ALA(5-アミノレブリン酸)も体温に深く関わり、ALAによって体温が上がることがわかっています。ALAを摂取すると、「UCP」と呼ばれる体温を上げる働きをするたんぱく質を増やすため、約4時間後には体温が平均0.2度上昇するという実験結果があります。
体の外からと内側の両方から体を温めて、健康の要である冷えない体作りを心がけましょう。
◎ALA(5-アミノレブリン酸)について
体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸、ヘムやシトクロムと呼ばれるエネルギー産生に関与するタンパク質の原料なる重要な物質です。しかし、加齢に伴い生産性が低下することが知られています。焼酎粕や赤ワイン、かいわれ大根れなどの食品にも多く含まれるほか、植物の葉緑体原料としても知られています。