日本人のハチミツの消費量は近年増加傾向にありますが、実は国内で消費されているハチミツのほとんどは輸入品で、国内産のハチミツは全体の消費量に対して6%程度です。この割合は年々減少傾向にありますが、なぜ日本で採れる量が少なくなっているのでしょうか。
原因の一つとして、養蜂家の高齢化や後継者不足問題があるといわれていますが、それだけではありません。今、日本中でハチミツの原料となる大切な蜜源が少なくなっていることを挙げる専門家もいます。これは農林水産省によるデータ(*)でも明らかで、2012年と2019年を比較した時にレンゲの蜜源面積は1/3まで減少、すべての蜜源を合わせた全体面積も、約70%程度まで減ってしまっていることがわかります。
なぜ蜜源が減っているのか
世界には約4000種の蜜・花粉源植物があり、日本では6 0 0 種類以上の蜜源植物が確認されています。ミカンやリンゴ、クローバー、アカシア、レンゲ、ソバ、サクラなどは身近な植物ですし、ハチミツが販売されているのを見かけたことがあるかもしれません。
蜜源が減っている原因としては、農業が衰退し、開発などが進むことで農地が減っていることが挙げられます。これにより、大きな蜜源であるレンゲやクローバーの栽培が減ってしまいました。また、レンゲの花を外来害虫が食い荒らしてしまうという問題も起きています。品質改良により、蜜や花粉の量が減らされた品種が栽培されていることも影響しています。
また、私たちも変化を感じている異常気象がミツバチに与える影響も重大です。花の季節に雨が多く、ミツバチが蜜を集められなかったり、温暖化の影響でミツバチが飛び回る前に花が咲いてしまったりすることで、蜜を集められるタイミングも変化しています。
身近なところからミツバチに蜜源を
ヨーロッパでは、ミツバチたちに蜜源を提供する取り組みとして街や庭に積極的に蜜源植物を増やしたりする地域があるそうです。夏に向けて家庭菜園を始めている方も多いと思いますが、実はこれもミツバチにとっては大切な蜜源になります。定期的に続けていたら、ミツバチを見かける日も近いかもしれません。
*参考データ:農林水産省「養蜂をめぐる情勢」(令和2年11月)