自分の細胞を食べるオートファジー?とは!
「オートファジー」のことをご存知ですか?オートファジーとは、日本語で「自食作用」という意味ですが、自ら自分の体を食べるわけではなく、正確には、細胞が自らの一部を分解して、新しい部品として再利用する仕組みのことです。私たちの体の細胞は、いつまでも元気なわけではなく、いずれ衰えてきます。しかし、このオートファジーの働きで細胞内の古くなった部品を分解し、新陳代謝によって新しい細胞へと生まれ変わらせる働きをします。また、細胞の中に現れる有害な物質を除去してくれます。
わたしたちの細胞の中には、ミトコンドリアを始めとする細胞小器官が存在しますが、これらすべてがオートファジーの対象となり分解され、新たな部品に置き換えられます。特にミトコンドリアは、発電所の役割を担っていて、このミトコンドリアが壊れると「活性酸素」が漏れ出して細胞を傷つけたり殺したりします。ここにオートファジーの仕組みが働くことで、壊れたミトコンドリアを狙い撃ちして活性酸素の発生を抑えてくれます。また、細胞内に侵入した病原体もやっつけてくれるので免疫機能に対してもとても重要な役割を果たしています。
オートファジーは免疫力をアップさせて健康寿命を延ばすなど、体内の組織を健康に保つために重要な働きをしてくれますが、十分に食べ物を食べた状態ではあまり機能してくれません。元々オートファジーは、細胞が強いストレスを受けた際に生き残れるように体内に組み込まれたシステムで、細胞が飢餓状態になったり低酸素状態になったときにこそ、働きが活発化します。つまり、空腹の時間が長く続くとオートファジーの活動が活発になり、体の中にあるものを利用して新たにタンパク質を作り出します。満腹の状態ではオートファジーがあまり機能せず、空腹の時によく働くということで、昔から言われている「腹八分ぐらいで抑えるのが体にいい。」というのは理にかなっていますね。
食事、運動、睡眠でオートファジーを維持
オートファジーの機能を高めるためには、食事と睡眠が大切です。満腹状態では血中にアミノ酸がたくさんあり、オートファジーが抑えられるので、夕食を食べてすぐに寝るとオートファジーの活性を妨げます。夕食を食べてから寝るまでは時間を空けて、寝ている間に空腹な状態を作ることが重要です。また、よく眠り適度な運動を心がけ、脂っこい食事を控えて腹八分目程度で抑えることも、オートファジーの機能を維持させてくれます。
5-ALAもオートファジーに一役かっている!
5-ALAは体内で作られるアミノ酸の一種ですが、いくつかのアミノ酸自体がオートファジーを抑制的に制御することは古くから知られいます。5-ALAもそのうちの1つで、高知大学の研究によるとオートファジーを誘導し、ミトコンドリアの保護作用のある安全な成分として論文発表されています。
オートファジーの仕組みを解明した功績でノーベル生理学・医学賞を受賞された大隅良典栄誉教授の研究ですが、それ以外にもまだまだ解明できていないことがたくさんあります。アメリカでは、オートファジーの仕組みを病気の治療に役立てようという応用研究が進んでいたり、まだまだ可能性が広がっていく分野なのです。