5 – ALAと睡眠

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現代人の多くが抱えている睡眠障害
あなたの1日の平均睡眠時間はどれぐらいですか?現在の日本人の平均睡眠時間は7時間40分ほどですが、日本人の多くは睡眠不足で「睡眠障害」で悩んでいる方が5人に1人いると言われています。睡眠障害には、寝つきが悪い「入眠障害」、夜中に何度も目覚める「中途覚醒」、朝早く目覚めてしまう「早朝覚醒」、睡眠時間の割に眠った感じがない「熟眠障害」があります。生活リズムの乱れやストレスなど、不眠を引き起こす原因は様々ですが、高血圧患者の40%、そして糖尿病患者のなんと60%の人が不眠で悩んでいるそうです。

睡眠障害と生活習慣病の関連

睡眠障害と生活習慣病は影響している
交感神経の緊張から睡眠不足になり、それが高血圧を引き起こしたり、徹夜などで血糖値が上がり糖尿病になったり、今度はそれが肥満や合併症になり、生活習慣病が悪化してしまうという悪循環が起こります。もし、生活習慣病の疑いと不眠に悩みがある場合は、生活習慣病の診断と治療を併せて行うことが重要です。

質のいい快眠のための2つのキーワード

  1. メラトニン
    睡眠には「メラトニン」というホルモンが深く関わっています。睡眠を促すメラトニンを分泌しやすくなる環境を作ってあげることが、質のいい快眠のためのコツです。メラトニンは、日が当たると分泌が減り、暗くなってくると増えて眠くなってきます。良い睡眠を得るためには、寝る時には小さなライトも付けずに、限りなく真っ暗な状態にして眠り、朝起きたらたくさんの陽の光を浴びることができるよう、なるべく明るい環境にすることをお勧めします。
  2. 深部体温
    気分が高揚している時はなかなか寝付けないのですが、その時、脳の温度が上昇しています。一方、眠くなる時は手足が温かくなります。手足を温めることでカラダの深部から熱を逃しやすくなります。深部から熱が逃れると、脳が冷えて深い睡眠へと誘います。

睡眠と5-ALAの関係
5-ALAは、細胞のミトコンドリア内で作られるアミノ酸の一種で、外部から摂取することでミトコンドリアの活性が高まり、内臓脂肪を減少させたり、空腹時血糖と食後血糖が改善するという研究成果が学会などで発表されていますが、睡眠の質を高めるという論文も発表されています。ハワイ大学の研究によると、40〜70歳の計40人の被験者を対象に、4ヶ月に渡り5-ALAを摂取したグループと摂取しないグループに分けて試験を行ったようです。試験の結果によると、「5-ALAを摂取していたグループの方が、睡眠の質を改善する効果があると示唆された」と出ており、「メカニズムについてはさらなる研究が必要です」と書かれています。
5-ALAは、外部から摂取すると、体温が上昇し手足が温まってきます。一概には言えませんが、このことを踏まえると、5-ALAを摂取して体温が上昇することでカラダの深部から熱を逃し、脳が冷えて深い睡眠へと誘っていくのではないかと想像されます。

(参照:InternationalJournalofClinicalMedicine)
https://www.scirp.org/journal/PaperInforCitation.aspx?PaperID=38440

水産分野でも注目される5-ALA

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エビの免疫力を5-ALAが増強!?
スーパーなどで手軽に手に入り、甘みが強くプリプリの食感を楽しめるバナメイエビは、今世界で一番養殖されている人気のエビです。

養殖エビ
日本でもベトナムやタイ、インドネシアなど東南アジアから多くのバナメイエビが輸入され、食卓をにぎやかにさせてくれています。しかしバナメイエビに限らず、養殖の車海老やブラックタイガーなどの甲殻類は、様々な細菌やウイルスによる感染症を発生する可能性が高く、2009年以降、エビの致死量100%とも言われて問題になったEMS(細菌感染症)の脅威にもさらされています。
そんな中、2019年4月に開催されたアジア水産学会で東京海洋大学が、5-ALA(5-アミノレブリン酸)がバナメイエビの自然免疫を増強して、細菌感染症に対して防御効果が高まることや成長を促進することを発表しました。細菌感染症に対する耐性が確認されたことから、将来のエビ養殖産業で5-ALAが重要な役割を果たすのではないかと期待されています。

うなぎや、カンパチでも5-ALAが効果的!
5-ALAは動物体内で造血に関与していることから、カンパチに飼料に混合した5-ALAを与えると、一ヶ月で体重と血中ヘマトクリット値(血液中に占める赤血球の体積の割合)が増加していることが解明されました。

カンパチの飼料に5-ALAを配合した際の体重のグラフ
また、うなぎでも5-ALAを使った研究が進んでいて、5-ALAを飼料といっしょにうなぎの成魚とシラスウナギに与えたところ、カンパチと同じく血中ヘマトクリット値と体重が増加したことが分かりました。

水産資源でも食料確保
世界人口の増加に伴って食料の増産が必要になってきますが、陸上での食料資源だけでなく水産分野での食料確保も必要になってきます。すでに多くの水産物は天然物より養殖の方が多く、水産養殖の分野では、飼料効率を改善することが重要な課題になっています。
これまですでに医療分野、畜産分野、植物分野で応用されている5-ALAですが、水産養殖の分野でも応用が広がってくれば、様々な養殖技術と相まって健康的で活きのいい魚介類が安定して供給される未来もそう遠くないのではないでしょうか。

活性酸素と5-ALAの関係

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活性酸素とは一体なに?
活性酸素とは「酸化させる力」がとても強くなった酸素のことで、鉄が空気にふれてサビるように体の中でも同じようなことが起きます。肌のしみやしわから動脈硬化やがんなど、多くの生活習慣病の原因になります。そんなこともあり「活性酸素=体に悪い」ようにいわれていますが、実は活性酸素は体内で細菌やウイルスを撃退する免疫機能としての役割を担っています。しかし、活性酸素が大量に発生すると正常な細胞まで攻撃してしまうため、「活性酸素=体に悪い」と勘違いされる場合があるのです。

活性酸素イメージ図

活性酸素はなぜ増えるの?
なぜ活性酸素は増えるのでしょうか。活性酸素は主に細胞の中にあるミトコンドリアで産生されます。呼吸から取り込んだ酸素の90%がこのミトコンドリアで加工され、動くためのエネルギーを作っています。その過程の中で酸素の一部が活性酸素に変わります。よくミトコンドリアが活性化すると余計に活性酸素が発生するのではないかと思われていますが、実はミトコンドリアは加齢や悪い生活習慣によって数が減り、質も落ちてきます。通常、古くなったミトコンドリアは壊されて、新しいミトコンドリアが作られる自食作用が働くのですが、不規則な生活を続けたり、加齢に伴って自食作用が衰えることで古いミトコンドリアが増えていきます。古いミトコンドリアは、本来動くために必要なエネルギーを作る作用が衰え、逆に活性酸素を出す量が増えてくるのです。つまり、元気なミトコンドリアは活性酸素を必要以上に多く出さないともいえます。

活性酸素を除去するスカベンジャー
私たちの体は元々、活性酸素を除去する仕組みも持っています。ビタミン類(CやEなど)やポリフェノールといった抗酸化物質、また体内で作られるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やカタラーゼ、グルタチオンといった酵素もスカベンジャーです。このスカベンジャーを増やして酸化を防ぐことが老化予防の鍵でもあります。

ROS=活性酸素

活性酸素と5-ALAの関係
5-ALAはミトコンドリアの機能を活性化させる働きをしていますが、SODやカタラーゼといった抗酸化酵素の活性をあげることが分かっています。5-ALAもうまく生活にとりいれながら、活性酸素を増やさない生活習慣や抗酸化物質を多く含んだ食事を取ることで酸化ストレスを貯めないようにしましょう。

感染症と5-ALA

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身近にある感染症
私達の身の回りには、目に見えない多くの細菌やウイルス、カビ(真菌)などの微生物が存在しています。その中で、感染症を引きおこす微生物を病原体といいますが、それらの病原体が、接触、空気、動物、虫、食べ物などを媒介して体内に侵入し、増殖することにより感染症が発症します。中でも細菌とウイルスは、感染症を引き起こす微生物の代表的なものです。

細菌とウイルスの違い
よく細菌とウイルスが混同されていますが、この2つは全く異なる性質を持っています。最も大きな違いは、細菌は自分の力で増殖できますが、ウイルスはヒトや動物の細胞の中まで入らないと増殖できないという点です。ウイルスが原因の感染症には、インフルエンザ、風疹、ノロウイルス性胃腸炎、そしてエイズやエボラ出血熱などがあります。一方、細菌が原因の感染症は、大腸菌による膀胱炎、サルモネラ属菌による食中毒、百日咳、結核、コレラ、赤痢、などがあります。たとえば、膀胱炎など細菌による感染症の場合には抗菌薬が有効ですが、インフルエンザなどウイルスによる感染症の場合、抗菌薬は全く効果はありません。細菌による感染症で厄介なのは、抗菌薬に耐えた細菌が生き残り、抗菌薬が効かなくなる「薬剤耐性菌」という細菌が出現する場合です。そのようにして増えていく「薬剤耐性菌」に対抗するには、それらの菌に合わせた効果を発揮する抗菌薬が必要ですが、そのような効果をもつ薬を開発することが難しくなっています。

細菌とウィルスによる感染症

5-ALAでマラリアの増殖を抑制
三大感染症と言われるエイズ、結核、マラリアでは毎年300万人以上もの命が奪われています。中でもマラリアは、世界の総人口の約半数がマラリアの脅威にさらされ、2015年には約44万人もの死亡者が出ています(WHO調べ)。蚊を媒介してマラリア原虫が人の体内に侵入し発生する感染症ですが、現代の医療技術をもっても中々、絶滅させることが難しい疾患です。その理由は、これまで多くの抗マラリア薬が登場していますが、薬に対する耐性を持ったマラリア蚊が発生してくるため、薬の開発とマラリア蚊のいたちごっこが続いています。

このような状況の中、長崎大学ではすでにサプリメントとして販売されている5-ALAが、マラリア原虫の増殖を抑制して、さらに治癒したマウスが再感染に100%抵抗性を示すことを突き止めました。これは免疫がついてきており、ワクチンの代用にもできる可能性が高いということです。すでに試験管内での実験では、5-ALAがヒトに感染する熱帯熱マラリアの増殖を抑えることを確認したほか、マウスを用いた実験でその治療効果と再感染防御効果が確認されており、マラリア制圧の可能性が大きく高まっています。

参照:長崎大学学術情報「北教授らの研究により、マラリア制圧に大きな前進」より
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/info/science/science108.html

一言で伝えきれない5-ALAの魅力
ミネラルとの関係を紐解く

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ミネラルとの相性がとてもいい5-ALA!
5-ALAは、細胞の中のミトコンドリアという小器官でミネラルの一種である鉄(Fe)と結合し、ヘムという物質へ変化していきます。そこにグロビンという物質が結合することでヘモグロビンというタンパク質になります。このヘモグロビンは全身の組織へ酸素を運搬する働きがあり、ヘモグロビンの量が少なくなると疲れやすくなったり貧血を起こす原因となります。またヘムは、ヒトや動物などのエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)に変化します。
私達が生きていく上で必要なエネルギーはこのATPから得ていて、生命のエネルギー源として非常に重要な物質です。しかし5-ALAだけでは、ATPを作り出すことができません。5-ALAに鉄(Fe)が加えられることによって、ATPを作り出す能力を促進させることができるのです。また、5-ALAにミネラルの一種であるコバルトが加わるとビタミンB12が合成されます。ビタミンB12は造血のビタミンと呼ばれ、赤血球の合成を促します。
その他、亜鉛や銅といったミネラルとも5-ALAは相性がよく、5-ALAが効率よく働くためにはミネラルは欠かすことができない成分です。

ミネラルと相性のいい5-ALA

現代人はミネラル不足!?
5-ALAと相性の良いミネラルですが、ひと口にミネラルといってもたくさんの種類があります。その中で私たちの体に存在し、栄養素として欠かせないものとしてわかっているのが16種類のミネラルで、「主要ミネラル」と「微量ミネラル」に分類されています。「主要ミネラル」はカルシウム、リン、イオウ、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、塩素の7種類、「微量ミネラル」は鉄、ヨウ素、亜鉛、銅、セレン、マンガン、コバルト、モリブデン、クロムの9種類です。
これらのミネラルはそれぞれ働きが異なり、私たちの体の機能を正常に働かせることに貢献しています。しかし残念なことにミネラルは体の中では作り出すことができないため食事から補うしかありません。近年、摂取量が最も不足しているのがカルシウムで、同じようにカリウムや亜鉛も不足傾向にあります。
その理由は、食生活の変化です。コンビニのおにぎりや、ハンバーガー、ラーメンなどのファストフードなどが中心で極端に野菜が少ない食事をしていたり、乳製品や小魚などを取る機会が減ってきたことが挙げられます。一方で、摂り過ぎに注意する必要があるミネラルもあります。例えばリン。これはカルシウムと結合することで、歯や骨を作るもとになり、細胞のもとにもなる必要不可欠なミネラルですが、リンは加工食品やレトルト食品などの食品添加物に含まれていて、一緒にとったミネラルがリン酸と結合して体外に排出されてしまうのです。銅、鉄、亜鉛の微量ミネラルなどは吸収を阻害されてしまうので、無添加・無調整といった加工度の低い食品を多く食べたほうがいいようです。
体に必要とされるミネラルは積極的に補って、多くを必要としないミネラルは過剰な摂取をしないよう心がけましょう。