ALAの不思議な魅力
ー甘酒に豊富なALAが!?-

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「夏に甘酒を」は理由がある!
甘酒など発酵によって作られる飲みものや食品の多くは中国から伝わってきていますが、日本で甘酒は1700年ほど前まで遡った古墳時代の頃から、神事の供え物として使われていたようです。
現在でも正月に参拝者に甘酒を振る舞う寺社が多く、一般的に甘酒は冬の飲みものというイメージが強いですが、実は江戸時代には、甘酒は夏の風物詩として親しまれていました。

江戸時代の甘酒売り

江戸時代の死亡率は、一年の中で夏が一番高く、老人や子供だけでなく大人でも暑さが続くと体力が低下しやすく、亡くなる人が多くいました。
現代のように栄養ドリンクのようなものがなかった時代ですから、栄養価の高い甘酒は、夏バテや熱中症の予防に夏の必需品として人気があったようです。

甘酒に「ALA」がいっぱい?!
甘酒には、エネルギー源となるブドウ糖が20%と最も多く、その他にも、ビタミンB1・B2・B6・C、ビオチン、葉酸、ミネラル、食物繊維、酵素、システイン・グルタミンなどのアミノ酸が含まれています。
これらの栄養分によって基礎体力を高めてくれるので、夏バテだけでなく風邪なども予防してくれます。
また食物繊維は、腸内環境を整えてくれるので、下痢や食中毒の予防も期待できます。
さらにビタミン類、アミノ酸など美肌、美白に効果的な成分も豊富です。

甘酒に含まれる豊富な栄養分

実は、甘酒1kgには6mgという非常に多くのALAが含まれています。
ALAは、甘酒をはじめ味噌や日本酒、黒酢、醤油、赤ワインなどの発酵食品の中に含まれていますが、その中でも甘酒の含有量はとても多いのです。
近年の研究により、甘酒に含まれている栄養成分の多くが解明されていますが、先人たちが生み出した食文化の知恵は素晴らしいですね。

夏でも工夫して美味しく甘酒を
糖類などの栄養分が少なかった江戸時代に比べて、今では糖質が多い食品が多く、甘酒は健康にいいとはいえ、飲み過ぎるとカロリーを摂りすぎるため、少しアレンジしてカロリーを控えることもできます。

1.甘酒+豆乳

イソフラボンやサポニンなどの栄養素が豊富な豆乳と1:1の割合で混ぜるだけです。
特に女性にとってはうれしい魅力的な組み合わせというだけでなく、甘酒が苦手な人にもピッタリの飲みものです。

2.甘酒+ヨーグルト

甘酒を甘味料の代わりに、プレーンヨーグルトに好みの量を混ぜるだけです。
2つの発酵食品で腸内環境を整え、便秘解消やダイエットなどにも効果が期待できます。
お好みでごまやチアシード、グラノーラをたっぷりと加えれば、さらにおいしく食べることができます。

「夏に甘酒」、日本で昔から伝わる飲みものと風習を、お好みにアレンジして今夏、楽しんでみてください。

ALAの不思議な魅力
-あまり知られていないALAの応用範囲-

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エネルギーを変換させる働きを担うALA
ALA(5−アミノレブリン酸)は、植物から動物まであらゆる生命体の細胞の中でエネルギーを生み出す仕事をしています。
このエネルギーを生み出す時には、外から得たエネルギーを 他のエネルギーに変換させるという活動が必要で、この活動がうまくいくことによって私たちは動いたり、呼吸することができるのです。
例えば地球上では、植物が太陽から光を浴びて光合成を行い、育っていきますが、これは植物が光エネルギーを成長するために必要なエネルギーへ変換させる活動です。そして、 植物から排出された酸素は、ヒトや動物が呼吸をして取り込みます。この呼吸も、酸素と栄養素を生きるために必要なエネルギーへと変換させるための活動です。
この「光合成」と「呼吸」が、エネルギーへ変換するための最も大きな現象で、ALAはこのどちらにも関わっています。
植物の場合、外からALAとミネラルを一緒に与えることで光合成が活発になり、実がしっかりした果物ができたり丈夫な作物ができるので、現在ALAとミネラルは肥料として利用されています。一方で、ヒトの場合は、ALAとミネラルを補うことで、呼吸から得た酸素と栄養素を効率よくエネルギーに変換し、基礎代謝が上がったり運動能力が向上します。

健康分野からエネルギーの分野まで広がる可能性を秘めたALA
このようにALAには、植物だけでなく、動物などあらゆる生命体のエネルギーを生み出す大もとの部分で働く特徴を持つため、様々な分野での応用が広がっています。すでに 健康、医療、美容、農業の分野で利用されていますが、特に医療分野では様々な応用研究が進んでいます。

【医療分野でのALAの応用研究】
・ 脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、子宮頸がんの診断薬として利用され、現在はがんなどの治療薬としての研究が進んでいます。
・ 抗マラリア薬としての研究
・ パーキンソン病への臨床実験
・ ミトコンドリア病への臨床実験 その他にも、様々な医療分野での研究が進められています。

前述の通り、農業の分野ではすでに肥料として実用化されていますが、砂漠化が進んでいる地域で、ALAを肥料として利用することで緑化を促し砂漠化を防げる可能性もあります。さらに、効率よく植物を育てることで、バイオエネルギーとしての活用も期待されています。畜産分野においては、鶏の飼料にALAを添加することで、 鶏の免疫機能を増強させることが解明されたり、豚の飼料へ添加したことすることで体調が向上することが確認されています。ペットなどへの健康補助食品としても多いに期待できます。まさにALAの可能性は様々な分野へと広がりを見せているのです。 実用化されるまで、まだ時間がかかる分野もありますが、近い将来ALAを活用できる分野も出現することでしょう。

ALAの不思議な魅力
-老化抑制のカギとなるミトコンドリアとALAの関係-

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寿命の影響を及ぼすミトコンドリアの働き
 もし自分で寿命を決められるとしたらあなたなら何歳まで生きていたいですか?
人類史上、最も長生きした人物は、確実な証拠がある中では122年と164日間も生きたフランス人女性のジャンヌ・カルマンさんです。すでに1997年に逝去されていますが、人類の寿命は医療や科学の発達に伴い確実に伸びています。しかし今年、米国のネーチャー誌に「人間の最高寿命はもう伸びない。」という論文が発表されました。この研究では、世界40か国以上の人口統計データを調べたもので、長年続いてきた最高寿命の上昇が1990年代にすでにその最高点に到達し1997年以降は横ばいになっていることが分かりました。それ以降は、世界最年長者が115歳前後という傾向が続いており理論上、最高でも115歳までが限度だとする研究論文が発表されました。
実はこの115歳という年齢は、ミトコンドリアによって生み出されるエネルギー代謝(COX活性)の指標が下がってくるグラフとほぼ一致しています。

私たちの体は、細胞の中にあるミトコンドリアの働きによって、栄養から得た水素と呼吸から得た酸素を使って生きるためのエネルギーを生み出し、代謝が行われます。つまりこのミトコンドリアの働きが「寿命」に大きな影響を及ぼしているのです。

ミトコンドリアとALAの関係
 体内で作られるミトコンドリアの働きを活性化させることが、老化を抑制するカギですが、ミトコンドリアでのエネルギー代謝に欠かせないのがALA(5-アミノレブリン酸)です。ALAはミトコンドリアの中に存在し、ミトコンドリアの中で変化しながらエネルギーや血液の元になっていきます。また、ミトコンドリアの働きを活性化させて代謝を促します。

しかし、17歳前後を境に体内で作られるALAの生産量は徐々に減少してきます。するとミトコンドリアの働きが衰えるため、エネルギー産生は低下し、細胞の衰えが引き起こされます。
ミトコンドリアの働きを高めるためには、ALAを食品やサプリメントから効率よく摂取することが重要だと考えられています。また、ミトコンドリアの量を増やすことも重要です。ミトコンドリアの量を増やす運動として、「インターバル速歩」という方法がおすすめです。やり方は簡単で、早歩きを3分、ゆっくり歩きを3分。これを交互に1日15〜30分行なうというもの。いつもの歩き方をちょっと変えるだけで、効率的にミトコンドリアを増やすことができるのです。
その他にも、ミトコンドリアの量を増やしたり質を高める方法は色々ありますので、気になる方はぜひ普段の生活に取り入れてみてください。

ー がん診断をもっと手軽に ー
リスクチェックに応用されるALA

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がん検診の課題とは?

日本人にとってがんは、今や「国民病」と言われるほどに増えて、2人に1人の割合でかかる病気と言われています。一昔前は不治の病というイメージがありましたが、現在は治療技術もめざましく進歩し、早期発見して適切な治療を行えば完治するようにもなってきました。

そのため、できるだけ早くがんを発見して死亡率を減らそうと全国の各市区町村では積極的にがん検診を推進しています。このがん検診はがんになる可能性、死亡率の高さ、早期治療の効果の高さなどを考慮し、5つのがんが対象になっています。

胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5つですが、最近は、前立腺がんも対象に入れている市区町村が増えてきました。これらのがん検診は健康増進法に基づいて公的な予防対策として実施されますので、少額の自己負担か、場合によっては無料で検診を受けられます。

各自治体のがん検診窓口/都道府県
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/contact/map/

しかし市区町村で実施されるがん検診は、実施される期間や日時が限定されたり、一度に全ての検診が受けられない地域もあります。また、通常のがん検診でも「偽陰性」といって見つけにくい場所や形をしていると発見できない場合があり、検査の精度が100%ではありません。また内視鏡やレントゲンなど検査時における身体的な負担も少なくありません。

がんのリスクチェックに応用されるALA
そういったがん検診の課題の前に少しでも軽い負担でがんのリスクをチェックしようと、最近では遺伝子検査によるがんのリスクチェックなどが行われるようになってきました。

そのような中、現在ALA(5-アミノレブリン酸)の特性を応用したがんのリスクチェックの開発も進んでいます。元々ALAは、私たちの体の中で作られるアミノ酸ですが、このリスクチェックはALAを飲んだ後に尿を検査するだけでがんの可能性を予測するというものです。
体の中へ外から取り込まれたALAは、正常な細胞では「ポルフィリン」という物質を経て「ヘム」という物質に代謝されます。しかし、がん細胞ではALAが「ポルフィリン」という物質にまでしか変化できずに、がん細胞に蓄積され、さらに過剰に蓄積された「ポルフィリン」は尿から排出されます。

このポルフィリンは特殊な光を当てると光る性質を持っていて、尿から排出されるポルフィリンの量を測れば体のどこかにがんが潜んでいる可能性を測定できます。ALAを飲んで尿を検査するだけでがんのリスクチェックができると体に負担を与えることもなくわざわざ幾つものがん検診を受ける手間が省けるので、とても便利になってきます。今後、このようながんのリスクチェックが広がってくることを期待したいですね。

ALAの不思議な魅力
-インフルエンザウイルスとALA-

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空気の「乾燥」がウイルスを撒き散らす
冬になると必ず流行するインフルエンザですが、なぜ冬だけ流行るのでしょう?インフルエンザウイルスは、湿度が20パーセント程で気温が20℃より低い環境を好みます。つまり、気温が低く乾燥した冬場が、インフルエンザウイルスにとっては生息しやすい環境なのです。もともとインフルエンザウイルスは水分を含んでいて、乾燥した空気に触れると水分が蒸発し、軽くなって空気中に長時間漂うようになります。
一方、私たち人間は、寒くて乾燥した環境になると、鼻や喉、気管などの血管が収縮し、粘膜の働きが弱まってきます。すると空気中に漂っていたウイルスは簡単に体の中に侵入し感染します。特に冬は締め切った室内で過ごすことが多いため、インフルエンザに感染したヒトの咳やくしゃみによってウイルスが撒き散らされることにより、感染が広がりやすくなります。さらに、粘膜細胞にウイルスが付着すると、16時間後には1万個、24時間後には100万個というものすごいスピードでウイルスが増殖するので、とても短い潜伏期間でインフルエンザが蔓延していくのです。

インフルエンザ予防は「乾燥対策」から
それでは、インフルエンザを予防するためにはどのような対策が必要なのでしょう。
冬はクーラーなどの暖房を使うと、外より室内の湿度がかなり低くなりますが、加湿器などを活用して室内の湿度を50%以上に保つとウイルスは活動できなくなるので、生存率は大幅に低下していきます。
また、手洗いとうがいをまめにすること、そしてまめにマスクを着けることです。予防するだけでなく、「うつさない」という気持ちを持つことも、インフルエンザ予防にとってとても大切なことです。

ALAによるインフルエンザウイルス感染症に対する新たな治療の可能性
現代では、インフルエンザを予防するためのワクチンや治療薬の開発が進んでいますが、ワクチンの場合、新型ウイルスが発生すると予防できなかったり、治療薬の場合は発症後48時間以内に使用しないと効果が得られなかったりと、常に薬の開発が追いかけっこしているような状況です。
ALAを摂取すると基礎代謝を活発にし体温も高くなり、免疫力がアップするということはこれまでもお伝えしてきましたが、2016年7月、徳島大学とSBIファーマ㈱によってALA(5-アミノレブリン酸)を利用したインフルエンザウイルス感染症の治療に関しての特許を米国で取得したということが発表されました。

(出願番号 CA 2877232 要約)
本発明によると、対象における摂食量、摂水量、体重、体温の低下を防止し、インフルエンザ重症化を回避して生存率が向上する、安全性が高いインフルエンザウイルス感染症の予防及び/又は治療剤の他、血中ケトン体量の増加抑制剤を提供することができる。

実用化されるまでには時間がかかりそうですが、ALAを利用したインフルエンザウイルス感染症に対するこれからの新たな治療の可能性が期待できそうです。