水産分野でも注目される5-ALA

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エビの免疫力を5-ALAが増強!?
スーパーなどで手軽に手に入り、甘みが強くプリプリの食感を楽しめるバナメイエビは、今世界で一番養殖されている人気のエビです。

養殖エビ
日本でもベトナムやタイ、インドネシアなど東南アジアから多くのバナメイエビが輸入され、食卓をにぎやかにさせてくれています。しかしバナメイエビに限らず、養殖の車海老やブラックタイガーなどの甲殻類は、様々な細菌やウイルスによる感染症を発生する可能性が高く、2009年以降、エビの致死量100%とも言われて問題になったEMS(細菌感染症)の脅威にもさらされています。
そんな中、2019年4月に開催されたアジア水産学会で東京海洋大学が、5-ALA(5-アミノレブリン酸)がバナメイエビの自然免疫を増強して、細菌感染症に対して防御効果が高まることや成長を促進することを発表しました。細菌感染症に対する耐性が確認されたことから、将来のエビ養殖産業で5-ALAが重要な役割を果たすのではないかと期待されています。

うなぎや、カンパチでも5-ALAが効果的!
5-ALAは動物体内で造血に関与していることから、カンパチに飼料に混合した5-ALAを与えると、一ヶ月で体重と血中ヘマトクリット値(血液中に占める赤血球の体積の割合)が増加していることが解明されました。

カンパチの飼料に5-ALAを配合した際の体重のグラフ
また、うなぎでも5-ALAを使った研究が進んでいて、5-ALAを飼料といっしょにうなぎの成魚とシラスウナギに与えたところ、カンパチと同じく血中ヘマトクリット値と体重が増加したことが分かりました。

水産資源でも食料確保
世界人口の増加に伴って食料の増産が必要になってきますが、陸上での食料資源だけでなく水産分野での食料確保も必要になってきます。すでに多くの水産物は天然物より養殖の方が多く、水産養殖の分野では、飼料効率を改善することが重要な課題になっています。
これまですでに医療分野、畜産分野、植物分野で応用されている5-ALAですが、水産養殖の分野でも応用が広がってくれば、様々な養殖技術と相まって健康的で活きのいい魚介類が安定して供給される未来もそう遠くないのではないでしょうか。

活性酸素と5-ALAの関係

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活性酸素とは一体なに?
活性酸素とは「酸化させる力」がとても強くなった酸素のことで、鉄が空気にふれてサビるように体の中でも同じようなことが起きます。肌のしみやしわから動脈硬化やがんなど、多くの生活習慣病の原因になります。そんなこともあり「活性酸素=体に悪い」ようにいわれていますが、実は活性酸素は体内で細菌やウイルスを撃退する免疫機能としての役割を担っています。しかし、活性酸素が大量に発生すると正常な細胞まで攻撃してしまうため、「活性酸素=体に悪い」と勘違いされる場合があるのです。

活性酸素イメージ図

活性酸素はなぜ増えるの?
なぜ活性酸素は増えるのでしょうか。活性酸素は主に細胞の中にあるミトコンドリアで産生されます。呼吸から取り込んだ酸素の90%がこのミトコンドリアで加工され、動くためのエネルギーを作っています。その過程の中で酸素の一部が活性酸素に変わります。よくミトコンドリアが活性化すると余計に活性酸素が発生するのではないかと思われていますが、実はミトコンドリアは加齢や悪い生活習慣によって数が減り、質も落ちてきます。通常、古くなったミトコンドリアは壊されて、新しいミトコンドリアが作られる自食作用が働くのですが、不規則な生活を続けたり、加齢に伴って自食作用が衰えることで古いミトコンドリアが増えていきます。古いミトコンドリアは、本来動くために必要なエネルギーを作る作用が衰え、逆に活性酸素を出す量が増えてくるのです。つまり、元気なミトコンドリアは活性酸素を必要以上に多く出さないともいえます。

活性酸素を除去するスカベンジャー
私たちの体は元々、活性酸素を除去する仕組みも持っています。ビタミン類(CやEなど)やポリフェノールといった抗酸化物質、また体内で作られるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やカタラーゼ、グルタチオンといった酵素もスカベンジャーです。このスカベンジャーを増やして酸化を防ぐことが老化予防の鍵でもあります。

ROS=活性酸素

活性酸素と5-ALAの関係
5-ALAはミトコンドリアの機能を活性化させる働きをしていますが、SODやカタラーゼといった抗酸化酵素の活性をあげることが分かっています。5-ALAもうまく生活にとりいれながら、活性酸素を増やさない生活習慣や抗酸化物質を多く含んだ食事を取ることで酸化ストレスを貯めないようにしましょう。

感染症と5-ALA

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身近にある感染症
私達の身の回りには、目に見えない多くの細菌やウイルス、カビ(真菌)などの微生物が存在しています。その中で、感染症を引きおこす微生物を病原体といいますが、それらの病原体が、接触、空気、動物、虫、食べ物などを媒介して体内に侵入し、増殖することにより感染症が発症します。中でも細菌とウイルスは、感染症を引き起こす微生物の代表的なものです。

細菌とウイルスの違い
よく細菌とウイルスが混同されていますが、この2つは全く異なる性質を持っています。最も大きな違いは、細菌は自分の力で増殖できますが、ウイルスはヒトや動物の細胞の中まで入らないと増殖できないという点です。ウイルスが原因の感染症には、インフルエンザ、風疹、ノロウイルス性胃腸炎、そしてエイズやエボラ出血熱などがあります。一方、細菌が原因の感染症は、大腸菌による膀胱炎、サルモネラ属菌による食中毒、百日咳、結核、コレラ、赤痢、などがあります。たとえば、膀胱炎など細菌による感染症の場合には抗菌薬が有効ですが、インフルエンザなどウイルスによる感染症の場合、抗菌薬は全く効果はありません。細菌による感染症で厄介なのは、抗菌薬に耐えた細菌が生き残り、抗菌薬が効かなくなる「薬剤耐性菌」という細菌が出現する場合です。そのようにして増えていく「薬剤耐性菌」に対抗するには、それらの菌に合わせた効果を発揮する抗菌薬が必要ですが、そのような効果をもつ薬を開発することが難しくなっています。

細菌とウィルスによる感染症

5-ALAでマラリアの増殖を抑制
三大感染症と言われるエイズ、結核、マラリアでは毎年300万人以上もの命が奪われています。中でもマラリアは、世界の総人口の約半数がマラリアの脅威にさらされ、2015年には約44万人もの死亡者が出ています(WHO調べ)。蚊を媒介してマラリア原虫が人の体内に侵入し発生する感染症ですが、現代の医療技術をもっても中々、絶滅させることが難しい疾患です。その理由は、これまで多くの抗マラリア薬が登場していますが、薬に対する耐性を持ったマラリア蚊が発生してくるため、薬の開発とマラリア蚊のいたちごっこが続いています。

このような状況の中、長崎大学ではすでにサプリメントとして販売されている5-ALAが、マラリア原虫の増殖を抑制して、さらに治癒したマウスが再感染に100%抵抗性を示すことを突き止めました。これは免疫がついてきており、ワクチンの代用にもできる可能性が高いということです。すでに試験管内での実験では、5-ALAがヒトに感染する熱帯熱マラリアの増殖を抑えることを確認したほか、マウスを用いた実験でその治療効果と再感染防御効果が確認されており、マラリア制圧の可能性が大きく高まっています。

参照:長崎大学学術情報「北教授らの研究により、マラリア制圧に大きな前進」より
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/info/science/science108.html

一言で伝えきれない5-ALAの魅力
ミネラルとの関係を紐解く

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ミネラルとの相性がとてもいい5-ALA!
5-ALAは、細胞の中のミトコンドリアという小器官でミネラルの一種である鉄(Fe)と結合し、ヘムという物質へ変化していきます。そこにグロビンという物質が結合することでヘモグロビンというタンパク質になります。このヘモグロビンは全身の組織へ酸素を運搬する働きがあり、ヘモグロビンの量が少なくなると疲れやすくなったり貧血を起こす原因となります。またヘムは、ヒトや動物などのエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)に変化します。
私達が生きていく上で必要なエネルギーはこのATPから得ていて、生命のエネルギー源として非常に重要な物質です。しかし5-ALAだけでは、ATPを作り出すことができません。5-ALAに鉄(Fe)が加えられることによって、ATPを作り出す能力を促進させることができるのです。また、5-ALAにミネラルの一種であるコバルトが加わるとビタミンB12が合成されます。ビタミンB12は造血のビタミンと呼ばれ、赤血球の合成を促します。
その他、亜鉛や銅といったミネラルとも5-ALAは相性がよく、5-ALAが効率よく働くためにはミネラルは欠かすことができない成分です。

ミネラルと相性のいい5-ALA

現代人はミネラル不足!?
5-ALAと相性の良いミネラルですが、ひと口にミネラルといってもたくさんの種類があります。その中で私たちの体に存在し、栄養素として欠かせないものとしてわかっているのが16種類のミネラルで、「主要ミネラル」と「微量ミネラル」に分類されています。「主要ミネラル」はカルシウム、リン、イオウ、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、塩素の7種類、「微量ミネラル」は鉄、ヨウ素、亜鉛、銅、セレン、マンガン、コバルト、モリブデン、クロムの9種類です。
これらのミネラルはそれぞれ働きが異なり、私たちの体の機能を正常に働かせることに貢献しています。しかし残念なことにミネラルは体の中では作り出すことができないため食事から補うしかありません。近年、摂取量が最も不足しているのがカルシウムで、同じようにカリウムや亜鉛も不足傾向にあります。
その理由は、食生活の変化です。コンビニのおにぎりや、ハンバーガー、ラーメンなどのファストフードなどが中心で極端に野菜が少ない食事をしていたり、乳製品や小魚などを取る機会が減ってきたことが挙げられます。一方で、摂り過ぎに注意する必要があるミネラルもあります。例えばリン。これはカルシウムと結合することで、歯や骨を作るもとになり、細胞のもとにもなる必要不可欠なミネラルですが、リンは加工食品やレトルト食品などの食品添加物に含まれていて、一緒にとったミネラルがリン酸と結合して体外に排出されてしまうのです。銅、鉄、亜鉛の微量ミネラルなどは吸収を阻害されてしまうので、無添加・無調整といった加工度の低い食品を多く食べたほうがいいようです。
体に必要とされるミネラルは積極的に補って、多くを必要としないミネラルは過剰な摂取をしないよう心がけましょう。

一言で伝えきれない5-ALAの魅力
医療分野での応用が広がる5-ALA

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がんの診断薬としても注目されている5-ALA
がんの治療法の一つに光線力学療法(photodynamictherapy:以下PDT)という治療法があります。これは、がん細胞のところに集まる性質を持っている成分(主に蛍光物質)を投与して、その部分に光を当てて、がん細胞を死滅させるという治療法です。正常な細胞への影響が少なく、体への負担が軽い治療法として知られています。この治療法は光を当てると、がん細胞の部分だけが光るという特徴があるのですが、その光っている部分だけを切除していく光線力学診断(PDD:Photodynamicdiagnosis)という診断があります。
現在は、光線力学療法では蛍光物質としてレザフィリンという薬剤が主流ですが、近年5-ALAを用いた光線力学診断も実施されるようになってきました。5-ALA(5-アミノレブリン酸)は体内に取り込まれると、正常な細胞では、ヘムという物質に代謝されていきます。しかし、がんの場合、5-ALAががん細胞に過剰に集まり、蛍光物質(PPⅨ)に変わるという現象がおきます。 

5-ALAを取り込んだ際の、正常細胞とガン細胞での代謝の違い

この蛍光物質に青い光と当てると、がん細胞の部分だけが赤く光るため、正常な細胞との区別がつきやすくなり、小さながん細胞の見落としが軽減されます。人の目では認識できないがん細胞が可視化できることで、より正確に摘出することができるのです。

膀胱がん手術画像(光線力学診断

すでに悪性神経膠腫(しんけいこうしゅ)や膀胱がんの手術時に使用する診断薬として保険適用となっています。また、胃がんの腹膜播種(ふくまくはしゅ)に対しても薬事承認に向けた取り組みが実施されています。元々5-ALAは、動植物の体内に含まれている天然のアミノ酸ですので、人体に負担を与えず安全性がとても高い成分であることから診断薬として注目されてきました。

2017年4月に、特殊な光源を用いた医療に関する診療や研究、教育を行う日本初の本格的な「光線医療センター」が高知大学医学部附属病院に設立されました。このセンターでも5-ALAと光を用いた脳腫瘍、皮膚表皮内がん、膀胱がん、前立腺がんにおける研究、開発が行われています。5-ALAを使った光線力学治療は、多くのがんに応用できる汎用性の高い最新医療技術であることから、がんに悩む数多くの患者さんにとって大きな福音をもたらすことが期待されています。